ChatGPTのScheduled Tasks(スケジュールされたタスク)は、これまで「毎朝9時」「毎週月曜」のように、時刻を指定して動かす機能でした。決まった時間に情報をまとめる用途には向いていますが、「顧客からメールが届いたとき」のように、いつ起きるか分からない出来事には合いません。9時の実行時点でまだメールが届いていなければ、次の実行まで待つことになります。
2026年8月25日の更新で、このScheduled TasksにWebhookによるイベント起動が加わりました。ChatGPT Workで、Gmailの新着メール、Slackチャンネルへの新規投稿、GitHubのプルリクエストの動きを検知して、タスクを実行できます(Scheduled tasks in ChatGPT)。
変わったのは起動のきっかけだけですが、使い方への影響は小さくありません。これまでは人がChatGPTを開いて指示を出していました。イベント起動では、Gmailが受信した事実がChatGPTへ届き、そこから処理が始まります。人が起点にならない使い方が、標準機能の範囲でできるようになりました。
この記事では、Gmailの受信をきっかけに、メールの要約と対応要否を判断するタスクを設定します。実際の手順を追いながら、イベント起動の仕組みと運用上の注意点を整理します。ChatGPTのChat・Work・Codexの違いについては、以前の記事で扱っています。
内容は2026年9月3日時点の公式情報にもとづきます。提供範囲や上限値は変更されることがあるため、利用時点の表示もあわせてご確認ください。

まず、時刻起動とイベント起動の違いを整理します。
| 項目 | 時刻起動(従来) | イベント起動(Webhook) |
|---|---|---|
| 実行のきっかけ | 指定した日時、または繰り返しの周期 | 連携アプリで発生した出来事 |
| 向いている用途 | 日次レポート、定例のリマインド | 問い合わせ対応、レビュー依頼、通知の一次処理 |
| 実行タイミング | 出来事の有無に関わらず決まった時刻 | 条件に合う出来事を受けて実行 |
| 空振り | 対象がなくても実行される | 条件に合う出来事がなければ実行されない |
時刻起動の弱点は、実行時刻と出来事の時刻がずれる点にあります。「毎朝9時に未処理の問い合わせをまとめる」というタスクは、朝10時に届いたメールを翌朝まで扱えません。かといって実行間隔を短くすると、対象が何もない空振りの実行が増えます。
イベント起動なら、条件に合う出来事が起きたときだけ処理できます。複数のイベントが短時間に届いた場合は、1回の実行にまとめられることがあります。
なお、1つのタスクに複数のイベントトリガーを設定できます。ただし、イベントトリガーと時刻指定のスケジュールを同じタスクへ組み合わせる設定はできません(Scheduled tasks)。「メール受信時に動かしつつ、毎朝9時にもまとめる」という運用にしたい場合は、タスクを2つに分けます。

2026年9月3日時点で対応しているのは、Gmail、Slack、GitHubの3つです。それぞれ設定できる絞り込み条件が異なります。
| アプリ | 検知できる出来事 | 絞り込める条件 | 補足 |
|---|---|---|---|
| Gmail | 新着メールの受信 | 差出人、件名 | 絞り込みは任意 |
| Slack | 選択したチャンネルへの新規投稿 | 投稿者、スレッド返信を含めるかどうか | 監視するチャンネルすべてに @ChatGPT を追加する必要がある |
| GitHub | 認可したリポジトリのプルリクエスト活動 | プルリクエスト、作成者、タイトル、ラベル | レビュー、コメント、コミット更新、マージのどれで起動するか選べる |
対応していない操作もあります。Slackでは、リアクション、投稿の編集、削除、ダイレクトメッセージは検知の対象外です。GitHubはプルリクエスト関連の活動が対象で、イシューやプッシュそのものは含まれません。
イベントトリガーを作成・編集できるのは、Webとモバイル(iOS・Android)のChatGPT Workです。デスクトップアプリでは既存タスクを表示できますが、イベントトリガーの作成・編集はできません。Codex CLIとIDE拡張にもScheduledの管理画面はなく、ローカルファイルを操作するタスクをイベントで起動する用途には使えません。
ここからは、特定の差出人から届いたメールを要約し、対応の要否まで判断させるタスクを作ります。設定の流れは、接続、作成、動作確認の3段階です。
タスクを作る前に、対象のアプリを接続しておきます。設定画面のアプリ一覧からGmailを選び、アカウントを接続します。

接続の前に、どのアカウントを使うかを決めておくことをおすすめします。個人のアカウントを接続すると、そのアカウントに届くメールがトリガーの判定対象になります。業務で使う場合は、処理対象だけを受信する専用アカウントを検討してください。この点は記事の後半で改めて取り上げます。
現在のタスク一覧は、サイドバーのScheduledから確認できます。新しいタスクを追加する前に、既存のタスクがどう表示されているかを見ておくと、後の比較がしやすくなります。
タスクの作成は、Workへ日本語で依頼して行います。専用の設定フォームはありません。依頼文には、監視したい出来事と、起きたときにしてほしいことの両方を書きます。
Gmailに {対象となるメールアドレス} から新着メールが届いたら実行するタスクを作成してください。
メールを受け取ったら、次の3点を出力してください。
1. 本文の要約(3行以内)
2. こちらで対応が必要な事項(なければ「なし」)
3. 返信の要否と、必要な場合はその理由
メールの返信や転送は行わないでください。判断に必要な情報が本文にない場合は、
推測せず「情報不足」と明記してください。

作成後は、タスクの詳細画面でトリガー条件と指示内容を確認できます。

設定できたら、条件に合うメールを実際に送って確認します。確認用のメールは、要約と判断の両方が試せる内容にしておくと、Promptの調整点が見つけやすくなります。
ここで注意したいのが、送信に使うアカウントです。実際の検証では、接続したGmailアカウントを差出人と宛先の両方に指定したメールでは、タスクが起動しませんでした。動作確認には別のメールアドレスを使い、接続したGmailアカウント宛てに送信してください。
件名:システム連携に関するお問い合わせ
お世話になっております。
現在利用中の在庫管理システムと、御社サービスのAPI連携を検討しています。
連携可否と、必要な作業期間の目安をご教示いただけますでしょうか。
なお、社内の稟議が9月中旬のため、それまでに概算をいただけると助かります。

受信後、Scheduled画面に実行結果が追加されます。結果が届くと未読を示す表示が付くため、どのタスクを確認すればよいかが分かります。

確認したいのは、出力の体裁よりも次の3点です。第一に、条件に合わないメールで起動していないか。第二に、Promptで指定した項目がすべて出ているか。第三に、指示していない操作(返信や転送)が実行されていないか。1件目の結果を見て、Promptの表現を調整する前提で進めるとよいでしょう。
1通ごとに必ず1回実行されるとは限らない点は、運用設計で考慮してください。
業務で使う前に、確認しておきたい点を整理します。
利用できるのは、Plus、Pro、Business、Enterprise、Eduの各プランと、ChatGPT for Healthcareのワークスペースです。FreeとGoでは作成できません。また、FedRAMPのワークスペースでは利用できません(Scheduled tasks in ChatGPT)。
Enterprise、Edu、ChatGPT for Healthcareでは、管理者が「Allow event-triggered scheduled tasks」を有効にする必要があります。初期状態では無効です。なお、ChatGPT for HealthcareではBAAの対象外のため、保護対象医療情報(PHI)を扱えません。
実行回数には上限があります。すべてのイベント起動タスクの合計で、1時間あたり30回、1日あたり720回までです。
問い合わせ用のメールアドレスのように受信量が多い対象を無条件で監視すると、この上限に達する可能性があります。差出人や件名での絞り込みは、精度を上げるためだけでなく、上限を使い切らないためにも必要です。
Gmailを接続すると、そのアカウントに届くメールがタスクの判定対象になります。個人の業務用アカウントを接続した場合、条件の書き方によっては人事情報や取引条件を含むメールが処理対象へ入る可能性があります。
対策としては、処理対象だけを受信する専用アカウントを使う方法が現実的です。個人の業務用アカウントを使う場合は、差出人や件名の条件をできるだけ具体的に指定してください。
設定した条件が広すぎた場合に備えて、止め方を先に確認しておきます。Scheduled画面からの一時停止が最も早い手段です。Promptにも「返信や転送などの外部への操作は行わない」と明示し、接続アプリの権限と承認設定も必要最小限にします。
イベント起動は、人が確認しないまま処理が進む点が利点であり、同時にリスクでもあります。最初は情報の整理までを任せ、外部への送信を伴う操作は段階的に検討するとよいでしょう。
Scheduled TasksのWebhook対応で変わったのは、ChatGPTを動かすきっかけです。時刻を決めて実行する形に加え、Gmail、Slack、GitHubで起きた出来事に反応する形も選べるようになりました。設定はTrigger、Condition、Promptの3項目で構成され、Workへの依頼文から作成します。この記事では、Gmailの新着メールを要約し、対応要否を判断するタスクの設定と動作確認を紹介しました。
導入時に確認したい点は次のとおりです。
まずは、特定の差出人からのメールに限定した1本のタスクから始めることをおすすめします。条件を絞れば実行回数も影響範囲も小さく抑えられるため、Promptの調整に集中できます。動作が確認できてから、対象や処理内容を広げる進め方が確実です。
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