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小さく始める生成AI活用

生成AI関連

はじめに

近年、生成AIは急速に普及し、「業務で使ってみたい」という声は増えています。その一方で、
「何から始めればいいのか分からない」
という課題も現場からよく耳にします。
Tech FunのR&Dチームでも日々最新技術の検証を行っていますが、私たちは単なる「技術の実験」ではなく「現場への定着」こそがゴールであると意識して取り組んでいます。
本ブログでは、私たちが得た知見や失敗談も含め、これから導入を検討される方へリアルな情報を発信していきます。
第一弾となる今回は、生成AIを導入する企業が最初に押さえるべき「小さく始める」ためのポイントをまとめました。

「大きく構えない」ことが成功の近道

生成AIと聞くと、高度なチャットボットの導入や、自社専門モデルの構築など、大規模な取り組みをイメージしがちです。
しかし、初期段階からリソースを大量投入すると、以下のような問題に直面しやすくなります。

  • 現場の真のニーズとズレた機能を作ってしまう
  • データ要件が合わず、期待した回答精度が出ない
  • 導入後の運用・維持コストが想定外に膨らむ

R&Dチームとしての結論は、「まずは小さく試す」ことが最もリスクが低く、効果的であると考えています。
目的や期待値を絞り込み、小規模な課題に対して生成AIを適用してみることで、精度の検証やリスク把握がしやすくなります。
実際、私たちも最初は「チーム定例MTGの議事録要約」という非常に小さなタスクから検証を始めました。

最初にやるべきは「業務プロセスの棚卸し」

いきなりツールを導入する前に、まずは「自分たちの業務がどのように進んでいるか」を可視化・整理することが重要です。

1. 自分たちの業務フローを可視化する

たとえば、「顧客からの問い合わせ対応を生成AIで効率化したい」と考えたとします。この時、業務の流れを正確にフローに落とし込めないと、生成AIへの指示も曖昧になります。

  • 問い合わせはどのチャネル(メール、フォーム、電話)で来るのか
  • 回答に必要な参照ドキュメント(マニュアル、過去ログ、FAQ)はどこにあるか
  • 回答作成において、人間にしか判断できない「特殊な条件」はあるか

生成AIは魔法の杖ではありません。文脈を汲み取って自律的に業務を完遂してくれるわけではなく、業務を知り尽くした現場の方々による「適切な設計」があってこそ輝きます。

業務フロー棚卸とAI適用ポイントの可視化例

Nano Banana Proで生成

2. 生成AIの「効果が高い」業務を見極める

業務フローの中で、以下のようなタスクはありませんか?これらは生成AIの強みが生かしやすい領域です。

  • 定型文・ドラフトの作成(メール、報告書など)
  • ナレッジ検索・抽出(大量のマニュアルからの回答生成)
  • 要約・翻訳(議事録、海外ニュースなど)
  • 壁打ち・アイデア出し(企画案のブレスト)

3. 必要なデータと成功基準を確認する

  • AIが学習・参照できる素材(テキスト、手順書、FAQなど)はデジタル化され、整理されていますか?
  • 「作業時間の〇%削減」「回答品質の均一化」など、期待値を具体的に共有していますか?

データを参照できない段階であれば、まずはデータを整える業務が発生し、AI活用までが遠のきます。
成功基準が具体的でなければ、導入効果を正しく測定し改善に繋げることができません。
自分たちは現在どういう状態なのか?可視化・整理することが大切です。

小さな成功体験が、次のステップを作る

生成AI活用は一度きりで終わるものではありません。“試用 → 調整 → 運用”のサイクルを回すことで、組織としての活用力が育っていきます。
Tech Funでは、以下のようなステップでの段階的な成長を行ってきました。そして、この小さな成功体験がAIを導入する上で大切であったと改めて実感しています。

  1. 【個人/チーム】既存ドキュメントの要約やドラフト作成を試す
  2. 【部門】特定業務に合わせたプロンプト(指示書)設計を行う
  3. 【社内】簡易ツールやセキュアなチャットUIとして展開する
  4. 【本格運用】社内データやワークフローと連携し、システムに組み込む

小さな成功体験のための4つのフェーズ

Nano Banana Proで生成

初回は難しいことをせず、“まずは触ってみる”ことが大切です。
とはいえ、「通常業務に追われて第一歩を踏み出すリソースがない」「客観的な視点で導入のアドバイスが欲しい」という場合もあるかと思います。 Tech Funでは、そんな“最初の一歩”を支援する3つのサービスパックをご用意しました。

生成AI活用支援サービスのご紹介

Tech Funでは、お客様のフェーズに合わせ、生成AI活用に向けた支援を3つのパックでご提供しています。

  1. 無料診断パック:業務・プロセスの現状を無料で診断し、生成AI活用の可能性をレポートします。
  2. 検証(PoC)パック:診断で有効性が確認された業務を対象に、プロトタイプ構築を支援します。
  3. コンサルティングサービス:生成AI導入戦略の策定から運用体制構築までを包括的に支援します。

生成AIに限らず、Web・業務システム開発やインフラ設計など、技術領域を問わずご相談を承っています。「何から始めれば良いか分からない」という段階でも構いませんので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

執筆・編集

Tech Fun Magazine R&Dチーム
Tech Funの生成AI研究に携わるエンジニアが、最新のAIモデル動向やプロンプト設計、実業務への応用手法など、生成AIに特化した知見を執筆・編集しています。
モデル評価や業務シナリオに応じたAI活用設計など、日々のR&D活動で得られる実践的なノウハウをわかりやすく紹介します。

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