2026年3月31日をもちまして、2025年度(第20期)を無事に終え、2026年4月1日より2026年度(第21期)を迎えることができました。この機会に、全てのお客様、社員及びそのご家族、関係者の皆様に深く感謝申し上げます。
2025年度は、複合的な危機が同時進行した、かつてない1年だったと振り返らざるを得ません。
経済面では、トランプ政権による相互関税政策が世界経済に大きな波紋をもたらしました。2025年4月2日(日本時間)の発動公表により、日本に対しては最大24%の水準が通告され、輸出・製造業を中心に景気下押しへの懸念が一気に高まりました。一方で賃上げの定着と内需の底堅さにより、日本経済はデフレからの脱却と正常化に向けた確実なシフトを感じ始めた年でもありました。
その矢先の2026年2月末、トランプ政権はイランへの大規模軍事作戦を開始し、ホルムズ海峡の通航困難を引き起こし、今もなお、世界の原油・LNG供給に深刻な影響が生じています。2024年8月5日の日経平均史上最大の暴落から1年半余り、世界は再び地政学的な乱気流の中に置かれています。出口は未だ見えず、2026年度においても極めて高い不確実性が経営環境を覆い続けるものと覚悟しています。
しかし、当社が今、最も深刻に向き合わなければならないのは、こうした外部環境の不安定さだけではありません。
IT産業の構造そのものが、根底から揺らいでいます。
2026年1月、AnthropicがCoworkをはじめとする11種の専門業務AIエージェント群を公開しました。これはSaaS市場に直撃しました。営業・人事・マーケティングといったSaaSが担ってきた業務領域を、AIエージェントが代替する未来を描いたのです。「ユーザーID数×月額料金」というSaaSの収益モデルは、AIエージェントが1つのアカウントを利用し、100人分の仕事を代替する構造の前では成立しません。GUIの価値が消え、ライセンスが崩壊する——この衝撃は、SaaS大手4社の時価総額を1ヶ月で15兆円規模消失させました。
しかし、当社が「Anthropicショック」として認識しているのは、さらにその先にある連鎖です。
プログラミング・テストといった下流工程は、AIによって代替されていく方向性が、いよいよ現実味を帯びてきました。そしてAIエージェントは、単一タスクの代替にとどまらず、設計から実装・テストに至る一連の工程を連続して自律実行できる存在へと進化しつつあります。この流れが本格化すれば、今までの人工(にんく)商売を基本とするSIのビジネスモデルは、その根拠を失っていくでしょう。
当社はこの構造変化をいち早く予見し、対応を進めてきました。長年の開発実績から体系化したノウハウに生成AIをフル活用することで、これまでのSIの常識を根本から問い直す新たなサービスを、本年度より展開します。「SaaS・パッケージでは対応できない、しかし従来のスクラッチ開発では高コスト・長期間」——そのジレンマをひっくり返す一手です。詳細については改めてご案内いたしますが、SI産業の構造変化を逆手に取り、新たな市場標準を創ることを当社は本気で目指しています。変化の波を脅威としてではなく、進化の契機として捉え、Tech
Funはこの転換期を正面から歩んでまいります。
2026年度においては、当社は以下の3領域に注力してまいります。
エンドユーザー企業向けSIサービス
お客様が本当に求めているのは、高品質・短納期・低価格、そして高い柔軟性を兼ね備えたシステムです。
SaaSやパッケージ、ローコードはコストと納期の面では優れているが、融通が利かず、ブラックボックスで、ベンダーロックがかかる。かといってフルスクラッチは納期が延び、コストが膨らみ、品質にばらつきが出る——
このジレンマは、長年業界が抱えてきた構造的な問題です。当社は、長年の開発実績から体系化したノウハウを凝縮した、実際に動作し本番にも耐えうる「本気のサンプルシステム」を作り上げています。これを土台にお客様の要件に合わせてカスタマイズして提供することで、このジレンマを解消します。
さらに生成AIをフル活用した開発手法を組み合わせることで、新たなSIの価値を提供してまいります。
詳細については追ってご案内いたしますが、SI産業の常識を根本から問い直す、当社としての確信ある一手です。
データマネジメントサービス
AIエージェントが本当に力を発揮するには、整備されたデータ基盤が不可欠です。SaaSの崩壊後の世界において、データの統合・管理・活用基盤の価値は逆に高まります。当社はこの領域を時代の変化に即して進化させてまいります。
生成AI活用支援サービス
多くの企業が「PoC止まり」という壁に直面しています。当社は、実案件で積み上げた実践知をもとに、AIエージェントの業務組み込みと、それに先立つ業務プロセスの再設計を一貫して支援します。お客様の現場に伴走し、確実に価値を生み出すことを最優先に取り組んでまいります。
時代の変化は当社にとっても脅威ですが、同時に最大のチャンスでもあります。
Tech Funは、2026年度もお客様の事業価値を高めるITサービスを提供することで、社会に貢献し、確かな成長を遂げてまいります。
2026年4月
Tech Fun株式会社
代表取締役兼CEO
笠井 達也