サービス事例

学習効率を飛躍的に高めたFXデモトレードアプリ【Runcha】の開発(株式会社アドバン様)

AWS

開発したアプリ【Runcha】の特徴

FX取引の練習アプリ【Runcha】を開発。

過去20年のチャートや実際の相場データを活用することで、実践的な取引の反復練習や、リーマン・ショックなど特定のイベント時のトレードが可能に。従来のFXデモトレードアプリに比べて学習効率向上が望めるため、初心者でもすぐにFX取引を習得することできる。

また、トレード経験者も、自らのトレードの傾向を把握したり、任意の日時の相場データで高速の反復練習をしたりすることで、トレード技術の向上が期待できる。

お客様の課題/要望​

今回開発をご依頼いただいた、株式会社アドバンの水沼様に、本アプリに対する思いなどをお伺いした。

デモトレードを進化させた新しいFXトレード練習ツール

今回、Tech Fun社に依頼したのは、FX用のトレード練習アプリ【Runcha】の開発です。

一般的に、実際のお金を使わずに株式やFXの取引(トレード)を体験することを「デモトレード」と呼びますが、それを実現する代表的なツールとして、スマートフォン用のデモトレードアプリケーションが広く活用されています。デモトレードの特徴は、実際の相場を相手にリアルタイムでトレードの練習を行うことで、実践的なスキルを身に付けることができることです。

デモトレードは、実際のトレード同様に、先の見えない緊張感を持つことができるメリットはあるものの、学習に多大な時間がかかるのが難点です。例えば、1週間分のFXトレードを練習するためには、本来は実際に1週間の時間を費やす必要があります。

しかし、デモトレードは学習のためのツールであり、「もっと学習効率の良いトレーニングの仕方があるのではないか」と考えるようになりました。

そこで、過去の大量の相場データをチャートとして表示させ、好きな時期、好きな相場環境を選んでFXトレードの練習をできるようにするアプリを考案しました。また、チャートの再生速度を設定できるようにすることで、実際の時間より高速で再生させて短時間で効率よく練習できるようにしました。

相場データは過去20年分を用意しました。過去の同じ相場を何度もトレードして習熟することもできますし、雇用統計や消費者物価指数の発表といった定期的なイベントを10年連続で反復練習するといった使い方もできます。

以上のようなサービスの開発をTech Fun社に依頼しました。

初心者にも使ってもらいやすいサービス設計に

前述の通り、本サービスには過去20年分の相場データを搭載しましたが、FXトレードの初心者の方に「何年何月何日何時台のこの為替ペアで取引を開始したい」といった具体的な設定をしてもらうのは難しいと思いました。

そのため、初心者でも簡単にFXトレードの練習を始められるように、「イベントモード」という機能を考案し、Tech Fun社に設計いただきました。

「イベントモード」は、過去に起きたリーマン・ショックやアメリカ大統領選挙などのイベント時の相場状況をワンタップで呼び出し、トレードを行うことができる機能です。

さらに、任意の日時を選んでトレードを開始できる機能も備えているため、自身の誕生日や思い入れのある日付から開始することもできます。

FXトレード経験者にこそ使ってほしい

本サービスは、初心者の方だけではなく、経験者の方にとっても、アンインストールできない必須のアプリにしたいと思っています。

そこで、経験者の方がさらにレベルアップするために、自分のトレード傾向の可視化や分析ができるような機能を実現したいと考えました。

  • 自分は「買い」が得意なのか、「売り」が得意なのか?
  • 1回の取引でどれだけの利益を出すことができるのか?
  • 利益を出す確率はどのくらいか?
  • どれだけのリスクをとっているのか?

以上のようなポイントを含めて、FXトレードに関する様々なデータを可視化し、自分のトレード傾向がすべて分かるようなサービスにしました。

また自分自身の傾向だけでなく、利益を出し続ける上手なトレーダーの取引をすべて見ることもできます。

さらに現在、上手なトレーダーが自分の苦手な部分をどのようにトレードしているのか、実際にトレードする様をアプリ上で確認することができる機能の追加をTech Fun社と協力して進めています。

YouTubeなどの動画サイトでは、FXで大金を稼いでる様子が注目を集めやすいですが、本当に価値があるのは、トレードの上手な人が失敗したときにどうするのかをありのままに理解できる動画だと考えています。

本サービスを使うことで、トレードで成功している様はもちろん、上手に失敗している(損失を最小限にとどめている)様子も見ることができるようになる想定です。

FXトレードの経験者の方こそ、損失を最小限に留めることの重要性をご理解いただけていると思いますので、【Runcha】を通してさらにトレード技術を磨くことができるはずです。

[話] 株式会社アドバン 水沼久 様
[編] Tech Fun株式会社 マーケティングチーム

Runcha(ランチャ)のマイページ画像

Tech Funが実施したソリューション

本サービスではお客様の要望に沿い、次のような機能を実装した。

最大20年分の為替データを表示するチャート機能

スマホアプリ本体はFlutter、複雑なチャート機能はJavaScriptをベースに開発を行った。

チャート機能は、次のような点をよく検討した上で実装を行った。

多機能

一般的なチャートライブラリだとお客様の要望を実現できないため、JavaScriptベースでスクラッチ開発を行った。

描画するデータ量が多い

描画速度を落とさずに高速再生をどう実現するか、という難題を解決するために、実装を工夫した。

アプリ→チャートのデータ受け渡し

アプリ(Flutter)からチャート(JavaScript)へのデータの受け渡しが必要となるが、データ量が多いため、動作停止しないように実装を工夫する必要があった。

これらの問題は一通り解決した上でリリースを行ったが、より良い描画や機能の追加などについて、お客様とともに継続的に改善を図っている。

運用しやすい管理機能

例えば、イベントモードという、代表的なFX相場の過去イベントをワンタップで呼び出せ、擬似体験できる機能があるが、お客様が運用していく中で、都度追加・削除などの設定を行う必要があった。そのため、お客様自身が簡易にこの運用を行えるよう、イベント管理機能の設計・開発を行った。

また、イベントのタップ数などの計測ができるように実装することで、アプリユーザーの反響を追いやすくした。

SNSログイン機能

本サービスは、GoogleやTwitterなどのアカウントでログインできるよう、SNSログイン機能を設けた。

また、Firebaseを利用して、ユーザのログインや登録情報の管理、複数端末で利用するためのデータ設計などを行った。

トレード傾向の可視化機能

自分や他者のトレード傾向を分析し、様々なデータを表示する機能に関して、指標の計算や定期的な更新を行うためのバックエンドの設計と開発を行った。

インフラ面の対応

バックエンド機能は主にAWS上に実装し、前述の通りログイン機能はFirebaseを利用した。

ユーザーの少ない立ち上げ期はコストを抑え、ユーザーが増えるにしたがってスケールアップできるようにするなど、クラウド技術の従量課金制のメリットを活かす設計を行った。

プロジェクト情報
対応工程 要件定義、基本設計、詳細設計、実装、テスト
チーム規模 10名
主要技術要素 Flutter, Firebase, AWS(EC2,RDS,ELB等), Java(SpringBoot)