生成AIを学びたいと思ったとき、最初に悩みやすいのが「何から学べばよいか」です。ChatGPT、Claude、Gemini、RAG、エージェント、MCPなど、関連する用語やツールは増え続けています。ニュースやSNSで話題を追うだけでは、知識が断片的になりやすく、実務でどのように使えばよいかまでつながりにくいことがあります。
そのようなときに有力な選択肢となるのが、AIベンダー自身が提供している公式の学習コンテンツです。本記事では、OpenAIが提供する OpenAI Academy と、Anthropicが提供する Anthropic Academy を取り上げます。
どちらも、単なる製品紹介ではなく、生成AIを仕事や学習にどう取り入れるかを段階的に学べる構成になっています。特に、AIをこれから学ぶ人にとっては、一次情報に基づきながら、実践を通じて理解を深められる点が大きな価値です。
本記事は、2026年6月19日時点で確認できる公式情報をもとに、次の観点で整理します。
AIそのものの基礎概念や用語の整理については、以下の記事もあわせてご覧ください。
また、AI分野の情報収集と実践の進め方については、以下の記事でも解説しています。

生成AIの学習では、情報源の選び方が重要です。特に初学者にとっては、断片的なテクニックを追うよりも、基礎、実践、安全性、業務への適用を順番に学べる教材の方が理解しやすくなります。
OpenAI AcademyとAnthropic Academyが学習機会として優れている理由は、主に4つあります。
OpenAI AcademyはOpenAI自身が、Anthropic AcademyはAnthropic自身が提供している学習リソースです。モデルやサービスを開発している企業が、製品の考え方、活用方法、注意点を整理しているため、二次情報だけでは分かりにくい設計思想を確認できます。
AI分野では、SNSや解説記事で便利な使い方が多く共有されています。しかし、サービスの仕様、利用できる機能、推奨される使い方、安全上の考え方は頻繁に更新されます。そのため、公式コンテンツで基本を押さえておくことは、継続的な学習の土台になります。
両Academyとも、単に「AIとは何か」を読むだけではなく、プロンプトの作り方、文脈の与え方、出力の確認、業務フローへの組み込み方など、実際の仕事に近いテーマを扱っています。
たとえば、OpenAI Academyでは、日常業務でのChatGPT活用から、繰り返し使えるワークフロー、エージェントを使った構造化された作業まで段階的に学べます。Anthropic Academyでは、Claudeの基本的な使い方に加え、AI Fluency、Claude Code、Claude API、Model Context Protocolなど、利用者の目的に応じた幅広いコースが提供されています。
OpenAIのヘルプセンターでは、OpenAI Academy coursesを無料のself-paced learning experiencesとして説明しています。自分の都合に合わせて学習を進められるため、業務の合間に少しずつ学ぶことができます。
Anthropic Academyも、Skilljar上でコースを提供しており、コース一覧から関心のあるテーマを選んで進められます。コースページでRegister | FREEと表示されているものは無料で登録できます。Claude 101やClaude Code 101のように、初学者が取り組みやすい入口も用意されています。
OpenAI Academyでは、対象コースを修了するとcourse-completion certificateを受け取れると説明されています。ただし、これはOpenAI Certificationsとは別のもので、正式なOpenAI資格ではありません。
Anthropic Academyでも、AnthropicのLearnページで「Earn certificates upon completion」と説明されています。学習の成果を確認する区切りとして、修了証は有用です。特に社内でAI活用を推進する場合、誰がどの基礎学習を完了したかを共有しやすくなります。
OpenAI Academy は、OpenAIが提供する学習プラットフォームです。2026年6月時点では、仕事でAIを使うための実践的なスキルを身につけるコースとして、主に3つの学習パスが公開されています。
OpenAIの公式ブログでは、これらのコースを「AI fundamentals to repeatable workflows」という流れで紹介しています。つまり、AIの基礎理解から始め、日常業務への適用、さらに繰り返し使えるワークフローやエージェント活用へ進む構成です。
| コース | 主な対象者 | 学べる内容 | 目安時間 |
|---|---|---|---|
| AI Foundations | AIをこれから学ぶ人 | AI、LLM、ChatGPTの基礎、プロンプト、文脈付与、出力確認、責任ある利用 | 60〜75分 |
| Applied AI Foundations | AI利用経験が少しある人 | 繰り返し発生する業務を分解し、ChatGPTを組み込んだ再現可能な流れを作る方法 | 75〜90分 |
| Agents and Workflows | AI活用に慣れてきた人 | エージェントに文脈、成果物、境界条件を与え、結果を確認しながらワークフロー化する方法 | 75〜90分 |
AI Foundationsは、AIや大規模言語モデル、ChatGPTの基本を学ぶ入口です。OpenAIのヘルプセンターでは、AI Foundationsについて、プロンプト、文脈の提供、出力評価、責任ある利用の基礎習慣を身につけるコースとして説明されています。
生成AIに初めて触れる人にとって重要なのは、「AIに何を頼めるか」だけではありません。「どのように依頼すればよいか」「どの情報を与えるべきか」「出力をどのように確認するべきか」も同じくらい重要です。
このコースは、メール作成、要約、計画、会議準備など、日常業務に近い用途から始められるため、非エンジニアにも取り組みやすい内容です。
Applied AI Foundationsは、単発のプロンプトから一歩進み、業務プロセスの中にAIを組み込む考え方を学ぶコースです。
OpenAIの説明では、入力、モデル、ツール、チェックポイント、人間によるレビューを整理しながら、ワークフロー計画を作ることが扱われています。これは、実務でAIを使ううえで非常に重要です。
生成AIの利用は、質問して回答を得るだけで終わるとは限りません。たとえば、調査、要約、分類、ドラフト作成、レビュー、修正という一連の作業を考えると、どの段階をAIに任せ、どの段階を人間が確認するかを設計する必要があります。Applied AI Foundationsは、その視点を学ぶコースといえます。
Agents and Workflowsは、エージェントを使った構造化された作業を学ぶコースです。エージェントとは、単発の回答だけではなく、文脈を読み取り、複数ステップの作業を進めるAI活用の形です。
このコースでは、AIに対して十分な文脈を与えること、成果物を定義すること、境界条件を設定すること、結果を確認して改善することが重視されています。これは、コーディングエージェントや業務エージェントを使う際にも共通する基本です。
特に実務では、AIに任せる範囲を広げるほど、人間の判断と監督が重要になります。Agents and Workflowsは、単に「AIに任せる」ためのコースではなく、AIを使った作業を安全に設計するためのコースとして捉えると理解しやすくなります。
Anthropic Academy は、Anthropicが提供する学習リソース群です。AnthropicのLearnページでは、API開発ガイド、企業導入のベストプラクティス、Claude Code、Model Context Protocol、AI Fluencyなどを学べる場所として紹介されています。
OpenAI Academyが、仕事でAIを活用するための汎用的な学習パスを明確に打ち出しているのに対し、Anthropic Academyは、Claudeを個人利用、業務利用、開発、教育、非営利活動などに広げていくためのコースが充実しています。
2026年6月時点で、Anthropic courses には、以下のようなコースが掲載されています。

| コースまたは領域 | 主な対象者 | 学べる内容 |
|---|---|---|
| Claude 101 | Claudeをこれから使う人 | Claudeの基本、最初の会話、よりよい結果を得る方法、Projects、Artifacts、Skills、ツール連携 |
| AI Fluency: Framework & Foundations | 初学者から実務者まで | AIと効果的、効率的、倫理的、安全に協働するための基本フレームワーク |
| Claude Code 101 | 開発者、AIコーディング支援に関心のある人 | Claude Codeのセットアップ、プロンプト、Plan Mode、コンテキスト管理、MCP、Hooks |
| Claude Code in Action | 開発ワークフローにAIを組み込みたい人 | コードベース理解、コンテキスト管理、カスタムコマンド、GitHub連携、Hooks、SDK |
| Claude Platform 101 | Claude APIを学びたい開発者 | Claude Developer Platformの基礎 |
| Building with the Claude API | API開発者 | AnthropicモデルをAPIから利用するための実践 |
| Introduction to Model Context Protocol | MCPを学びたい開発者 | MCPサーバーとクライアント、tools、resources、promptsの実装 |
| 教育、非営利、小規模事業者向けAI Fluency | 各領域の実務者 | 目的別にAI Fluencyを適用する方法 |
Claude 101は、Claudeを日常業務で使うための入門コースです。コースページでは、Claudeの基本機能を理解し、日常業務タスクに活用し、より高度な学習リソースに進むための入口として説明されています。
カリキュラムには、Claudeとは何か、最初の会話、よりよい結果を得る方法、Projects、Artifacts、Skills、ツール接続、Enterprise search、Research modeなどが含まれています。Claudeを単なるチャットツールとしてではなく、作業環境の一部として使うための全体像を押さえられる構成です。
Anthropic Academyで特に重要なのが、AI Fluencyという考え方です。Anthropicは、University College CorkのJoseph Feller教授、Ringling CollegeのRick Dakan教授と提携し、AIと効果的、効率的、倫理的、安全に協働するためのコースを提供しています。
AI Fluencyのコースでは、生成AIとは何か、AIに何を任せるか、プロンプトをどう設計するか、出力をどう見極めるか、責任ある使い方をどう実践するかといったテーマが扱われています。
AIを学ぶうえで、操作方法だけを覚えると、ツールが変わったときに学びが古くなりやすくなります。一方で、AI Fluencyのように「AIと協働するための判断力」を学ぶと、ChatGPT、Claude、Geminiなど、複数のツールに応用しやすくなります。
開発者にとって、Anthropic AcademyはClaude CodeやMCPを体系的に学べる点が大きな魅力です。
Claude Code 101では、AI coding agentとは何か、Claude Codeがチャット型AIツールとどう異なるか、agentic loop、context window、tools、permissionsがどのように連携するかを学びます。また、Explore、Plan、Code、Commitという流れ、コンテキスト管理、CLAUDE.md、subagents、Skills、MCP、Hooksなども扱われています。
Claude Code in Actionでは、より実践的に、コードベースの理解、複数ツールの組み合わせ、視覚情報を使ったUI変更の伝達、カスタムコマンド、MCPサーバー、GitHub連携、Hooks、SDKなどを学べます。
さらに、Introduction to Model Context Protocolでは、Python SDKを使ったMCPサーバーとクライアントの構築が扱われています。MCPは、AIアプリケーションと外部ツールやデータソースを接続するための標準的な考え方として注目されています。開発者がAIエージェントの拡張性を理解するうえで、非常に重要なテーマです。
学習を始める前に確認しておきたいのが、料金とアカウント要件です。ここでは、「Academyのコース受講」と「実際のAIサービス利用」を分けて考えることが重要です。
| 項目 | OpenAI Academy | Anthropic Academy |
|---|---|---|
| コース受講料 | 公式ヘルプで無料と説明 | 各コースページでRegister / FREEと表示されているものは無料 |
| 学習形式 | 自分のペースで進めるオンラインコース | Skilljar上で進めるオンラインコース |
| 必要なアカウント | ChatGPTアカウント | Skilljarアカウント |
| 進捗保存 | ChatGPTアカウントでサインインして保存 | Skilljar上で進捗を管理 |
| 修了証 | course-completion certificateあり | コース修了証あり |
| 注意点 | 修了証はOpenAI Certificationsとは別 | Claudeサービス利用には別途Anthropicアカウントが必要な場合がある |
OpenAI Academyについて、OpenAIのヘルプセンターでは、コースは無料であり、開始して進捗を保存するにはChatGPTアカウントが必要と説明されています。また、コース修了証はOpenAI Certificationsとは異なり、正式なOpenAI資格ではないと明記されています。
Anthropic Academyについては、コースページ上でRegister | FREEと表示されているコースを無料で登録できるものとして扱えます。一方で、Claude Code 101の前提条件には、Claude account、Pro、Max、Enterprise、またはAPI keyが挙げられています。つまり、教材自体は無料であっても、ハンズオンでClaudeやClaude Code、APIを利用する場合には、別途プランやAPI利用料が関係する可能性があります。
初学者は、まず無料で受講できる教材から始め、実サービスの有料機能やAPI利用が必要になった段階で、目的に応じてプランを確認する進め方がよいでしょう。
ここからは、これからAIを学ぶ人に向けて、OpenAI AcademyとAnthropic Academyを組み合わせた学習ロードマップを提案します。

最初に学ぶべきなのは、個別ツールの操作よりも、AI、生成AI、LLM、プロンプト、出力確認といった基礎概念です。
この段階では、OpenAI AcademyのAI Foundationsと、Anthropic AcademyのAI Fluency: Framework & Foundationsが適しています。AI FoundationsではChatGPTを使った基本的な仕事の進め方を学び、AI FluencyではAIと協働するための判断の枠組みを学べます。
あわせて、AIと機械学習、生成AIの違いを整理しておくと、以降の学習が進めやすくなります。
基礎を押さえたら、次に日常業務で実際に使うことが重要です。
たとえば、文章の下書き、メールの整理、会議メモの要約、資料構成案の作成、調査の観点出しなど、普段の仕事の中にある小さな作業から始めます。この段階では、OpenAI AcademyのAI Foundationsで扱うプロンプトと文脈付与、Anthropic AcademyのClaude 101で扱うClaudeの基本機能が役立ちます。
重要なのは、AIの出力をそのまま採用することではなく、出力を確認し、自分の意図に合うように修正し、必要に応じて再依頼することです。この確認と改善の習慣が、AI活用の基礎になります。
日常業務で一定の成果が出てきたら、次は繰り返し使える形に整理します。
OpenAI AcademyのApplied AI Foundationsは、この段階に適しています。単発のプロンプトを増やすのではなく、入力、処理、確認、出力を分けて、業務の流れとして設計する考え方を学べます。
たとえば、顧客問い合わせの一次整理、提案書の骨子作成、議事録からのタスク抽出、技術調査の論点整理などは、毎回ゼロから考えるよりも、一定の流れとして定義した方が安定します。
この段階で重要なのは、人間が確認するポイントを明示することです。生成AIは強力な補助になりますが、事実確認、判断、最終責任は人間が持つ必要があります。
AI活用に慣れてきたら、エージェントや開発者向けテーマに進みます。
非エンジニアであっても、OpenAI AcademyのAgents and Workflowsは有用です。エージェントに文脈、成果物、境界条件を与え、結果を確認しながら作業を進める考え方は、今後のAI活用で重要になります。
エンジニアであれば、Anthropic AcademyのClaude Code 101、Claude Code in Action、Building with the Claude API、Introduction to Model Context Protocolなどに進むとよいでしょう。コーディングエージェント、API連携、MCP、Hooks、Skillsなどを学ぶことで、生成AIを開発ワークフローやシステム設計に組み込む視点が得られます。
最後に、学習内容を自分だけに閉じず、チームで共有することが重要です。
OpenAI Academyの公式ブログでも、企業がAcademy coursesを社員のオンボーディング、学習プログラム、AI導入施策に活用できると説明されています。社内で共通の学習リソースを使うと、AI活用に関する言葉や前提をそろえやすくなります。
たとえば、チーム内で次のような運用を行うと、学習が実務に結びつきやすくなります。
AI学習は、情報を読むだけでは定着しにくい領域です。学びを業務に当てはめ、結果を確認し、共有することで、実務に使える知識に変わっていきます。
筆者自身も、OpenAI AcademyやAnthropic Academyのコースや関連リソースから継続的に学びを得ています。
特に有用だと感じているのは、生成AI活用を「便利なプロンプト集」としてではなく、「仕事の進め方をどう設計するか」という視点で捉え直せる点です。
たとえば、OpenAI Academyの学習パスでは、AIの基礎理解から、日常業務への適用、再現可能なワークフロー、エージェント活用へと段階的に進みます。この構成は、社内でAI活用を広げる際にも参考になります。いきなり高度な自動化を目指すのではなく、まず共通の基礎を作り、次に繰り返し使える業務プロセスへ展開する考え方です。
Anthropic Academyからは、AI Fluency、Claude Code、MCPに関する学びが特に大きいと感じています。AI Fluencyでは、AIに何を委任するか、どのように説明するか、出力をどう見極めるかという基本姿勢を整理できます。Claude CodeやMCPのコースでは、AIエージェントを開発現場で使う際に、コンテキスト管理、権限、ツール連携、再利用可能な指示をどう設計するかを学べます。
これらは、単にツールの使い方を覚えるだけでは得にくい視点です。AIの出力精度を高めるだけでなく、AIを含む作業全体の品質をどう担保するかを考えるきっかけになります。
また、公式コースを受けることで、ベンダーがどのような言葉でAI活用を説明しているかを確認できます。これは、顧客や社内メンバーに生成AIを説明する際にも役立ちます。独自の解釈だけで説明するのではなく、公式の考え方を踏まえて伝えることで、議論の前提を合わせやすくなります。
本記事では、これからAIを学びたい人に向けて、OpenAI AcademyとAnthropic Academyを紹介しました。
生成AIの学習では、最新情報を追うことも大切ですが、それ以上に、公式教材を使って基礎と実践を往復することが重要です。OpenAI AcademyとAnthropic Academyは、そのための出発点として非常に有用な学習機会です。
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